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文章基本信息

  • 标题:退化歯および過剰歯の進化学的意義に関する一考察
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  • 作者:田中 武史 ; 増田 哲男 ; 埴原 和郎
  • 期刊名称:Anthropological Science
  • 印刷版ISSN:0918-7960
  • 电子版ISSN:1348-8570
  • 出版年度:1965
  • 卷号:73
  • 期号:3
  • 页码:72-81
  • 出版社:The Anthropological Society of Nippon
  • 摘要:退化歯や過剰歯と人類進化との関係については多くの研究がなされてきた。しかし,多くは,これらを独立の形質としてとりあつかい,他の形質,とくに同一個体の他の歯に現われる諸形質との関連について論じたものはほとんどない。最近,GARN とその共同研究者は第3大臼歯の欠如と他の歯の形質との相関について広範な研究をおこない,この歯が欠如している個体では正常個体より他歯の欠如が多く,歯の発生時期が遅れ,さらに歯が全体として小さくなる傾向のあることを確認した。元来,これらの変化はいずれも人類の歯の進化という面からみれば同一の方向を指向するものであるが,これらが決して独立に起るのではなく,たがいに関連して生ずる変化であるという認識は,歯の進化を研究するにあたってきわめて重要である。われわれは GARN らの結果をさらにたしかめるたあ,上顎側切歯の退化をとりあげて歯冠の大きさについての比較をおこなった。すなわち,上顎側切歯が退化または欠如している個体と正常個体との間で,側切歯以外の歯の大きさに差があるかどうかを統計学的に検討した。同時に退化歯とは逆の過剰歯の一例として,正中歯をもつ個体を集あ,これらと正常個体との比較もおこなった。その結果,上顎側切歯の退化している個体は,全体として正常個体よりも明らかに小さい歯をもつことが確認された。これは第3大臼歯の欠如を指標とした GARN らの結果とまったく一致し,上顎側切歯の退化が人類進化の一側面を表わすものであるとの従来の考えかたを一層強固にする。一方,過剰歯の成因については主として二つの見方がある。一つはこれを復古形(atavism)と考えるもので,他は歯の形成時期における歯胚の異常分裂によるとするものである。前者の説にしたがえば過剰歯は歯の系統発生を逆行するものであり,後者にしたがえば進化とは無関係なものと考えなくてはならない。過剰歯が進化に関係ある現象,つまり復古形であるという考えかたは多くの学者によって否定されているが,現在もなお一部に根強く残っていることは事実である。GARN らやわれわれの研究によれば,歯の進化は特定の形質に独立に起るものではなく,大なり小なり他の諸形質の変化をともなうことは明らかである。したがって,もし過剰歯が復古形であるならば,退化歯の場合とは逆に,正常個体より大きい歯をもつであろうことが予想される。しかし今回おこなった研究はこの予想を否定するものであった。すなわち,過剰歯の一種である正中歯をもつ個体と,正常個体との間には歯の大きさに関してほとんど差がみられなかった。この結果は過剰歯,少なくともこの研究の対象となった正中歯が歯の系統発生とは無関係なものであることを強く示唆するものと考えられる。いいかえれば,過剰歯を復古形と考えることはわれわれのえた結果からみる限りはなはだ困難であって,やはり偶発的なものとの考えかたを支持すべきであろう。退化あるいは欠如歯と過剰歯とは,現象的には正反対の形質である。それ故に,往々にして前者を進化形,後者を復古形として,ともに系統発生の観点から説明しようとする傾向がみられる。しかし,少なくとも歯の形質の多型現象からみるかぎり,過剰歯は他の形質と関係なく,独立に生ずるものという可能性が強い。したがってこれら二つの歯数異常は,進化の両極端を示すものではなく,本質的にはまったくことなる現象であると考えられる。
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