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  • 标题:日本人古人骨にみられる歯科疾患像
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  • 作者:井上 直彦 ; 郭 敬恵 ; 伊藤 学而
  • 期刊名称:Anthropological Science
  • 印刷版ISSN:0918-7960
  • 电子版ISSN:1348-8570
  • 出版年度:1981
  • 卷号:89
  • 期号:2
  • 页码:145-158
  • 出版社:The Anthropological Society of Nippon
  • 摘要:一般集団において歯と顎骨の大きさの不調和が認められる頻度は,後期縄文時代から現代までの間に,8.9%から63.1%へと上昇したことが知られている(埴原ほか,1981)。すなわち,人類における咬合の退化は,この期間に最も急速に進んだと考えられるが,同時に,この不調和の強い影響を受ける不正咬合や,鯖蝕その他の歯科疾患の特性とその頻度にも大きい変化が起ったであろうことが予想される。したがって,この期間における歯科疾患像や,その頻度の推移を知ることによって,これらの疾患がどのようにして現代人にみられるような病態を示すに至ったかを理解することが可能となり,さらに,その未来像を予測する手がかりを得るばかりでなく,歯と顎骨の不調和の成立過程が一層明らかになることも期待される。本論文においては,人類の咬合の退化に関する総合的な研究の一環として,鎌倉時代人骨における歯科疾患像について報告した。資料としては,東京大学総合研究資料館所蔵の鎌倉時代人頭骨のうちの保存状態の良好な,永久歯咬合期の上顎93体,下顎52体,および混合歯咬合期の上下顎各3体,合計141体を用いた。これらのうち,同一個体の上下顎は永久歯咬合で43組,混合歯咬合で2組であった。観察結果として,編蝕有病者率は62.8%,齲歯率と喪失歯率とはそれぞれ9.3%と3.0%で,両者を合わせても12.3%であって,現代人と比べてかなり低いことが知られた。齲蝕の重症度からみると,C3,C4などの進行した齲蝕は比較的少なく,85.7%がC1およびC2の範囲のものであった。また,これらの鶴蝕は主として大臼歯部に集中し,大臼歯のうちでも後方の歯ほど齲歯率が高く,第3大臼歯では上顎で43.1%,下顎では34.0%に達していた。混合歯咬合では,齲歯は全く見られなかった。このほか,第3大臼歯の埋伏,半埋伏,歯冠周囲炎によると思われる骨吸収像や,歯の咬耗など,多くのことが観察された。以上の所見のうち,齲蝕の少ないこと,隣接面の咬耗が少ないことなどから,この時代における歯と顎骨の不調和はとくに大きいとは考えられなかったが,一方,齲歯の分布が大臼歯部に偏り,前歯部ではきわめて少ないことなどから,齲蝕の発生要因としてすでに主要な役割を果していたことが推論された。また,齲蝕の絶対数が少なく,混合歯咬合では齲歯が認められず,咬合面の咬耗はかなり著しいことなどから,この時代の食生態はかなり未分化で,齲蝕発生に対する糖分摂取の影響は考え難いように思われた。
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