摘要:縄文時代人骨3体から DNA を抽出し, PCR 法を用いてミトコンドリア DNAを増幅して解析を行い,その方法論的な問題点を考察した。今回用いた方法では,試料の保存状態•部位にかかわらず,ほぼ安定して DNA の分離と増幅が可能であり,その有効性が確かめられた。分離された DNA は,そのほとんどがヒト由来のものではなかったが, PCR 法によりヒトミトコンドリア由来の DNA の増幅を確認することができた。ミトコンドリア DNAのV 領域および D ループ領域に対する制限酵素を用いた解析では多型は検出できなかった。しかし増幅した V 領域の塩基配列を決定したところ,1個体では1箇所の変異が見出された。