摘要:頭部 X 線規格写真を用いて解析を行う際に,性別不明の資料のため困惑することがある.そこで,頭部 X 線規格写真の計測値から判別関数を求め,性別の判定を試みた.まず,性別が明らかな近世泰雅族頭骨標本,男性24例,女性21例の頭部 X線規格写真を用い,肉眼的観察に際して重視される眉間および乳様突起部の計測を行い,判別関数を求めた.これを45例に適用したところ93.3%の的中率を得た.ついでこの方法を,中国殷墟出土の頭骨標本に応用し,性別不明のすべての例の分類を試みた結果,頭部 X 線規格写真の計測値によって性別がかなりよく判別できることが知られた.