目標が曖昧で,ユーザ自身が試行錯誤を通して何を検索すべきなのかを明確化していく探索的な検索では,「調べようとしていること」(検索対象)に対するユーザの理解を支援することが重要である. 検索のプロセスの中でユーザが対象の理解を深めていくためには,いわゆる絞り込みによってより詳細な情報を得るだけでなく,他の概念などとの関係を把握し,対象概念を多面的に理解することも重要である. そこで,本論文では,検索対象の多面的理解支援に有用な関連情報の発見方法を提案する.提案手法では,関連情報を導出するために,Wikipediaの表やリストなどの文書の列挙構造を利用する.提案手法により実際に関連情報を発見し,その有用性をユーザ実験により検証した. 実験の結果,検索エンジンのクエリ推薦を含む他の手法と比べて,提案手法が多面的理解支援に有用な情報をより多く発見できること,提案手法で発見した関連情報のうち有用な情報が占める割合が7割を超えていることが確認された.