さまざまな解像度を持つ端末から利用されることを想定した画像データベースシステムが盛んに構築されている.ここではスケーラブルな可逆符号化方式が利用されているが,JPEG 2000に代表されるスケーラブルな可逆符号化方式の符号化効率は,ノンスケーラブルな可逆符号化方式に劣るという問題がある.そこで我々は,セルラーニューラルネットワーク(CNN)を用いた階層型可逆符号化方式の研究を展開してきた.本論文では,従来手法におけるCNN予測器の割当を決定する予測器選択マップが符号量を最小化するように最適化されていない問題およびCNN出力関数の不連続点が予測に悪影響を与える問題に対処するために,CNN予測器の形状とその割当を反復最適化する階層型可逆符号化方式を提案する.グレースケール標準画像に対する符号化実験より,提案手法は既存のノンスケーラブルな可逆符号化方式と比較し有効であることを明らかにした.