8Kスーパーハイビジョン(SHV)の音響方式である22.2マルチチャネル音響の番組制作では,残響付加により空間印象を調節する必要がある.そこで,素材音にさまざまな空間の残響を付加することができる3次元残響付加装置を開発した.本装置は,素材音に22chのインパルス応答を畳み込んで残響を付加する方式であるため,これまで小空間から大空間までさまざまな音場で22chの応答を測定し,実装した.一方,より多様な音響表現を実現するためには,さらなる種類の22chの応答が必要であるが,実測のみによりそれらを得ることは容易ではない.そこで,一つの応答から,3次元残響付加に適した多数の応答を生成する「ブロックシフト法」を開発した.さらに,空間印象に大きく寄与するパラメータである残響時間に着目し,本手法の拡張により,元の応答よりも残響時間が長い,多数の応答を生成する手法を開発した.