本論文では,複数ユーザを対象とした視線情報を用いた対話型進化計算(Interactive Evolutionary Computation:IEC)を提案する.IECは人の感性を解候補生成に反映できる最適化手法として,幅広い分野で研究が行われ,有効性が確認されている.しかし,ユーザの評価負担が大きいという問題がある.この問題を解決するために,本研究では,IECの解候補評価にユーザの視線情報を用いることを提案する.提案システムでは,ユーザが解候補を閲覧している際の視線情報を取得し,その視線情報からシステムが解候補に評価値を与える.このため,提案システムでは,各解候補に明示的に評価を与える必要がなくなり,ユーザの評価負担を軽減できると考えられる.また,一度に複数人の視線情報を取得することが可能であるため,IECの評価に複数人の感性を反映できると考えられる.本研究では,提案手法を用いた女性衣服コーディネート生成システムを開発し,提案システムにおける解候補の進化性能やユーザの解候補評価負担軽減に関する有効性を検証した.その結果,提案システムでは,ユーザはあまり負担を感じることなく,ある程度満足のいく解候補を生成でき,提案システムの有効性が確認された.また,実験中の男女の反応の差や,コーディネートパーツの出現率の差などから,男性と女性における衣服コーディネートの評価方法の違いが確認された.