サプリメントによる健康被害の未然・拡大防止には,現時点で発生している有害事象を短期間に全国レベルでできるだけ多く収集し,行政的対応を検討する取り組みが求められる.そこで全国的なオンライン調査により,消費者から直接情報を収集して有害事象の把握を試みた.有害事象としては下痢に着目し,4つの調査会社で実施した.その結果,軽微な症状が多いが痛みや吐き気を伴う事例もあること,下痢経験者の8割以上はどこにも報告していないこと,関与する原材料として植物エキスが疑われることが明らかとなった.有害事象の経験頻度に調査会社間で誤差はあるが,オンライン調査はサプリメントによる有害事象の発生を全国レベルで短期間に把握できる有用な方法と考えられた.