新たな食品の品質評価法として注目されているメタボローム解析技術は,代謝物を網羅的に近い形で分析·解析することで,対象試料の状態を客観的に見ることができる手法である.そのため,この解析法は,カンキツなど生鮮食品の調理·加工操作による成分変化量を定量的に評価する優れた方法となり得るが,報告例は少ないのが現状である.そこで本研究では,広島県の特産品であるレモンを用いて加熱処理がレモン果汁の成分プロファイルに与える影響をGC/MSメタボローム解析技術に基づいて検討した.その結果,加熱処理はレモン果汁の成分プロファイルへ統計学的に意味のある変化を与えること.その変化は,糖類で顕著であることが明らかとなった.特にアラビノースおよびスクロースは,高温加熱の履歴を推定するマーカーとして有効であることが示唆された.アラビノースは,本研究で新たに見出したマーカーである.