アミノ酸が複数連結したペプチドには有用な生理機能を示すものが多く,食品や医薬などの原料として広く利用されている。大豆,牛乳,魚肉などに含まれるタンパク質の分解によって得られるペプチドには血圧降下作用や抗酸化作用などの生体調節機能のあることが知られており,健康食品などとして商品化されている。アミノ酸が2分子連結したジペプチドにも,それを構成するアミノ酸単体にはみられない物性や生理活性を示すものが多く,新しい機能性素材として注目されている。筆者らは,ジペプチドの機能多様性に着目し,任意のジペプチド合成を可能とする新規酵素を利用してジペプチドのライブラリーを構築した。これに従来のスクリーニング法を組み合わせることで,塩味増強効果を有する新規ジペプチドを効率よく見出すことに成功したので,その経緯と技術的背景を紹介していただいた。