γ-アミノ酪酸(GABA)を合成する酵素グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)が塩味受容体を備える味蕾細胞に見出された。GADの活性に香辛料などの天然物成分が影響し,その度合いが塩味の強弱と相関があることが分かってきた。ゲノム解析より味覚受容体の全容が明らかになり,個々の受容体タンパク質が分子レベルで論じられるが,まだ塩味情報の伝達機構は明らかでない。著者らの官能試験によりゲノム情報からは得ることのできない味覚の仕組みが示唆され,塩味増強効果をもつ物質の探索と定量化に向けた取り組みが展開できつつある。ぜひご一読を。