無塩発酵大豆食品として多くの優れた機能を持つ納豆であるが,嗜好の面から見ると必ずしも消費者に歓迎されるとは限らない独特の臭いや食感があり,その更なる消費拡大にはそれらの問題を解決する必要があった。著者らのグループは納豆菌の育種改良によりそれらの原因となる成分の低減に取り組み,さらに機能性の強化のためビタミンK2高生産納豆菌の開発を図り,いずれも商品化に成功した。ここでは,その十数年にわたる研究開発の基本となった考え方とプロセスを紹介していただいた。他の発酵食品においても微生物の育種改良による新製品の開発にあたって,本解説は示唆に富んだ内容を含んでおり参考にしていただきたい。