フィリッピン産バーティー種のバナナを幅1.2cmにスライスし,各時間でスチームブランチング処理を行い,各々について酵素活性を測定し,その活性変化と色調並びに成分変化とも相関を調べた。 (1) 溶媒で抽出・分画した3種のパーオキシダーゼは1分間のブランチングにより,その活性の92~96%が失活した。また抽出,分画した2種のポリフェノールオキシダーゼは同様のブランチングによりその98~99%の失活が見られた。なおブランチング処理した試料の色調を経時的に色差計により測定した結果,色の変化も酵素活性には相関があり,両酵素がバナナの褐変に関与していることが認められた。 (2) 溶媒で抽出・分画した3種のペクチンエステラーゼは5分間のブランチングにより,フラクションIでは95%,フラクションIIでは80%,フラクションIIIでは85%の失活が見られ,各画分により耐熱性に差が見られた。また,水溶ペクチンのメトキシル基含有量を測定した結果,その変化は酵素活性と相関があり,ペクチンエステラーゼの失活と共にメトキシル基含有量の減少傾向は少なくなり,4分間以上のブランチングでは生バナナとほぼ同じ値を示した。なお,バナナ中のフェノール化合物量及び酸度についても測定を行ったが,ブランチングの影響は認められなかった。