脂溶性ビタミンの栄養状態と疾患との関係について, これまで欧米を中心に報告されており, ヒトを対象とした栄養研究において, 摂取量と生体指標を同時に調査することが当然のように行われていた。しかし, わが国においてはそのような研究が限られている。著者らは, 脂溶性ビタミン摂取必要量を検討するための摂取量と血中濃度を同時に測定した横断研究, またビタミンDについてはヒトを対象とした介入研究も行った。その結果, 日本人の食事摂取基準 (2015年版) のビタミンD目安量が, 少なくとも日照の限られた集団では不足を招くこと, また不足の回避のためには現行の目安量の3倍程度は摂取すべきことを明らかにした。また, 効率良く脂溶性ビタミンを摂取するためには, 脂質摂取についても考慮すべきであることも示した。その他, ビタミンKの骨での作用に対する必要量や, ビタミンE摂取量と高血圧症との関係についても報告し, 脂溶性ビタミン類のヒトの健康に対する臨床的意義を示した。