わが国をはじめとして,「食」における健康志向や食糧資源の確保観点から植物性タンパク質資源である大豆に対する注目が世界的に高まっている。わが国では味噌,醤油,納豆などの伝統的な大豆発酵食品や醸造調味料が生産され,日本の豊かな食文化を育んできた。しかし,近年では食事の欧風化,人口構成の高齢化や少子化,経済の停滞にともない,発酵食品の消費が年々漸減の傾向が強まっている。これとは反対に海外諸国では,日本食や発酵食品について健康食としての認識が高まり,「WASHOKU」の言葉も聞かれる様に注目が集まっている。わが国の発酵・醸造産業の活路を求めるため,発酵食品の海外展開が期待されている。本解説では,わが国発酵食品の主要原料である大豆に焦点をあて,大豆発酵食品における市場動向,研究の展開,製品戦略について統計的な観点からわかりやすく解説していただいた。