本研究の目的は大学年齢層における身長別運動能力評価表を作成しようとするものである.標本は1968年9月〜69年2月調査の大学11校,工高専3校の男子学生計2,436人である.身長と短距離走・跳・投の運動能力との間には有意な相関・回帰関係があることが明らかとなり,そこで回帰方程式と回帰からの標準偏差を用いて,「大学生の身長別運動能力評価標準表」を,50m走・垂直跳び・ハンドボール投げについて完成した.この「身長別運動能力評価表」を実際の運動能力評価に応用してみると,身長を考慮しないで評価する場合と比較して,評価点が15〜40%とかなり大きく変動することが判明した.大学年齢層においても,遺伝的要因によるところが大きい,身長の影響を除去して運動能力を評価する方法は,公平であるというだけでなく,合理的な評価という点で有効性を保持しているといえる.