高次脳機能障害者の日常生活や職場への円滑な復帰を実現するためには, 認知障害のレベルに応じて適切なナビゲーションが行える支援システムが必要とされている。そのためには, 障害者自身の行動や周りの環境を認識・理解できる仕組みと, 障害者の実際の日常生活や職場への認知的な適応能力を評価できる仕組みが要求される。本論文では, 簡易なウェアラブルカメラを用い, 協調的な行動ナビゲーションを行うプロトタイプシステムを用いた事例を紹介した。同時に, 障害者自身の認知能力や適応能力の向上を目指し, 認知障害に対する病識を改善し, 気づきや意欲を促進可能な認知リハビリテーション支援も要求される。我々は, 体験映像と教師映像, タスク達成率, 認知機能評価結果などの指標を提示することが可能な振り返り支援システムにより, 気づきや意欲を向上させる取組を行っている。システム事例を示しながら, いくつかの症例に対する結果を紹介した。