本研究は,冶室保存における尿中17-KS量の安定性について調べたものであり,保存した尿で測定する17-KS 値が何日目まで信頼できうるかを知る目的で行なった.被検尿は26才健康男子の24時間尿であり,これを無処置尿グループと酸加尿グループ(濃塩酸を30%容量加えた)とに分け, 6〜10℃の冷蔵庫に保存した.測定は採尿当日からそれぞれ8日後, 9日後まで行なった.尿中17-KSの測定はDrekter変法を用いた.測定結果は次の通りである.l)無処置尿グループでは, 当日尿に対して4日後尿まで有意の差が認められなかつた.しかし,2日後尿と4日後尿の間には差が認められた.2)酸加尿グループでは, 当日尿に対して3日後尿まで有意の差が認められなかつた.以上の結果から, 6〜10℃の冷蔵庫内に尿を保存する場合には, 2日後, あるいは3日後までに17-KS量を測定する必要があるものと考えられる.