本研究では, 重炭酸緩衝作用の大きさを反映する指標である過剰CO_2排出量に焦点を当て, その大きさが短時間高強度運動パフォーマンスの優劣を評価できるか否かを, 過剰CO_2排出量の測定方法の相違に着目して検討することを目的とした.この課題を明らかにするために, 短距離競技者10名に, 漸増負荷運動と運動時間の異なる10秒, 20秒, 30秒および40秒の短時間高強度運動を行わせ, 漸増負荷運動では, VO_2max, [email protected].およびLaを測定し, 短時間高強度運動では, 各ペダリング運動におけるMean power, La, CO_2 [email protected].およびPETCO_2を測定した.本研究の主な結果は以下に示す通りである.(1)短時間高強度運動におけるMean powerと漸増負荷運動における[email protected].との間には, いずれの運動時間においても有意な相関関係は認められなかった.(2)20秒, 30秒および40秒ペダリング運動におけるMean powerとCO_2 [email protected].との間に有意な正の相関関係(20-s r=0.652, P<0.05;30-s r=0.708, P<0.05;40-s r=0.759, P<0.01)が認められ, その相関係数は運動時間が長いほど高値を示した.以上の結果から, 本研究では, 短時間高強度運動中および運動後の過剰CO_2排出量([email protected].)は, 特に解糖系への依存度の高い運動パフォーマンスの優劣に影響する可能性が示唆された.