北海道日高支庁の一地区において, 中学生を対象とし, その栄養状態と耐寒性について調査測定を行ない, 和人とアイヌ系を比較検討した。同時に大阪地区の中学生についても, 耐寒性を測定した。その結果 1 (栄養摂取量は所要量より劣るが, アイヌ系中学生にくらべ, 和人の中学生はたん白質, とくに動物性の摂取量がやや優れていた。また献立には, アイヌ民族特有のものはみられなかった。 2) 体格, 体力には両者にとくに差を認めなかった。皮脂厚はアイヌ系のほうが和人より薄かった。 3) 血液比重, 血清たん白濃度はアイヌ系と和人の間に差はなく, 正常範囲であった。 4) 寒冷血管反応による耐寒性は, アイヌ系が和人より高い傾向を示した。北海道の和人は大阪の中学生より, やや低い成績を得た。 5) 耐寒性と栄養状態について考察を加えた。