情報学研究においては大規模データセットが不可欠となってきているが,実際には多くの課題がある。そこで国立情報学研究所では,民間企業などからデータセットを受け入れて研究者に提供する共同利用の取り組みとして情報学研究データリポジトリ(IDR)の活動を行っている。本稿では,最初にその背景にある大学や民間企業の状況を概観し,次に研究コミュニティーにおけるデータセットの位置付けの進展に沿ってその共同利用の意義を明らかにしている。また,IDRがデータセット提供のために民間企業や研究者に向けて行っている活動内容や,提供中のデータセットとそれらの利用状況について紹介し,最後に今後の展望を示している。