40代,50代,60代を対象に冷凍食品の現在および過去の利用状況に関してアンケート調査を行い,世代間における利用の違い,利用の変遷について分析した。 50代は冷凍食品の利用率が最も高く,また利用食品数も最も多い年代であり,それに対して60代は利用率,利用食品数ともに50代に比べると低かった。対象者の職業の有無と利用の有無においては関連がみられず,子どもとの同居の有無においては,同居していない対象者の方が利用率は低いものの,有意な差は認められなかった。 40代,50代は調理時間を短縮する目的で弁当や夕食のおかずとして冷凍惣菜を利用し,一方で60代は夕食や昼食として冷凍惣菜や冷凍野菜を利用し,冷凍食品の貯蔵性を重視していることが示された。また,50代は冷凍食品のおいしさを他の年代よりも高く評価し,品質,利用の簡便性においては,いずれの年代においても評価が高かった。 過去から現在にかけての利用の履歴をみると,40代での利用頻度が最も高く,理由として弁当・昼食での利用増加が最も大きく関与する傾向は30年間変わらなかった。一方で過去30年間における同年代で比較すると,現在60代の対象者に比べて,現在40代および50代の方が毎日利用や週利用といった高利用頻度者が著しく多いことが示された。女性の就労率の増加以外に,20~40代の時期に見られた冷凍食品に対する積極的な利用動機,すなわち嗜好的評価の向上などが利用頻度の増加を促していると考えられた。また,このような利用動機は弁当需要が低下する世代においてもみられ,今後の60代は現在の60代と利用動向が異なる可能性が考えられた。