マツノザイセンチュウ抵抗性品種の効果的な選抜のため, クロマツ抵抗性候補木の実生苗に対して三つの強度な接種試験を試みた。一つ目の接種試験は枯損を促す環境を検討するため, 水分ストレスを与えるようにポット苗を用い, さらに高温状態を維持したハウス内において強毒性線虫である島原を 1 万頭接種した結果, その生存率は約 3% となった。二つ目の接種試験は接種頭数の増加により枯損を促す手法を検討するために行った。すなわち, 島原を1 万頭または 2 万頭接種する試験を行ったところ, 2 万頭接種では生存率が半減した。三つ目の接種試験は健全苗集団の抵抗性とそれらの接種履歴の関係を検討するために行った。すなわち, 健全苗に対して線虫を連年接種して選抜した集団に対し, 別の強毒性線虫である Ka-4 を 2 万頭接種した。その結果, 接種履歴が多い選抜集団ほど枯損が緩やかに進行し, 生存率も高かった。このような枯損の進行は, これまで報告されているような抵抗性品種の病徴進行過程の特徴を示していた。以上の結果から, 実生苗に強度な接種方法を適用して健全苗を選抜することによって, 抵抗性個体の選抜を効果的に行えると考えられた。