富山県に伝承されるアユなれずしは,麹を使って漬け込み,約40日間の熟成後が食べ頃とされる.本研究では,このアユなれずしを試作し,熟成中の生菌数,有機酸,遊離アミノ酸などを分析した.乳酸菌数は熟成8日後以降,108cfu/g台のオーダーで推移し,pHは8日後に4.8に低下し,その後は4.6-4で推移した.乳酸は22日後までに急増し,遊離アミノ酸総量も同様の傾向が見られたが,それ以降は緩やかに増加した.これらの結果から,麹を使用して伝承的製法で作るあゆなれずしは,乳酸発酵が速やかに進行することが示唆された.