GC-MSを用いた畜水産物中の312農薬(異性体を含む)を対象に一斉分析法を検討した.アセトンおよび n -ヘキサンにより抽出した試料溶液を,GPCを用いずに,アセトニトリル/ n -ヘキサン分配ならびにC18およびSAX/PSA固相抽出カラムを用いて精製した結果,コレステロールを含む夾雑物の効率的な除去が可能となった.本法による豚肉,牛肉,鶏肉の筋肉およびエビを用いた添加回収試験結果では,237~257農薬が回収率70~120%と良好な結果となり,さらに豚肉を用いた妥当性評価結果では214農薬で本法の妥当性が確認された.加えて,厚生労働省通知の試験法に比べ,前処理時間の短縮および使用溶媒量の大幅な削減が可能となった.