食品衛生法における合成樹脂製器具・容器包装のカドミウム(Cd)および鉛(Pb)材質試験について,公定法と各種代替法の性能を比較した.19機関が試験室間共同試験に参加し,3種のポリ塩化ビニル製ペレット中のCdおよびPbを定量した.公定法は,試料を灰化後,塩酸に溶解した溶液を水浴上で蒸発乾固し,原子吸光光度法(AAS)または誘導結合プラズマ発光強度測定法(ICP-OES)で測定する.その真度は86~95%,併行精度(RSDr)は3.1~9.4%,室間再現精度(RSDr)は8.6~22.1%であり,その性能は規格試験法として十分であった.ホットプレート上で蒸発乾固しAASおよびICP-OESで測定する方法は,公定法よりも真度とRSDrが劣っていたが,代替法として適用可能である.マイクロウェーブ分解法(MW法)による試験溶液の調製は公定法よりも性能がよく,代替法として十分に適用可能である.また,誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法は測定法の代替法として適用可能であるが,試料を完全に灰化する必要がある.