多元素同時分析によるアカシアはちみつの原料原産地判別を検討した.アカシアはちみつ165試料(国産100試料および中国産65試料)を試料として,ICP-MSにより13元素(Li,Mg,P,K,Ca,Mn,Fe,Rb,Sr,Y,Cd,BaおよびLa)を分析した.このうち7元素(P,Mg,Ca,Mn,Rb,SrおよびK)の分析結果について主成分分析により解析したところ,国産と中国産はそれぞれ群を形成し,判別の可能性が示された.そこでサポートベクターマシンおよび線形判別分析による統計解析を行い,国産と中国産の判別関数を構築した.結果を比較したところ,最適な判別関数として,Ca,Mn,RbおよびSrのPに対する濃度比の常用対数を変数とする線形判別分析による判別関数が選択された.この判別関数の予測率は,国産97%,中国産100%であった.高い予測率が得られたことから,多元素同時分析は国産と中国産のアカシアはちみつの原料原産地表示の真正性を確認するために有効であると考えられる.