混練法によりパルミチン酸レチノール(RETP)を包括粉末化し,その安定性について検討した.賦形剤としてサイクロデキストリン(CD)含有水飴を主な賦形剤として用いた.CD水飴の一部を γ -CDに置き換えた賦形剤がもっとも高い含有量と安定性を示した.MDと γ -CDの混合賦形剤の場合,粉末中にRETPを包括することができず,混練スラリー中のRETPのエマルション径も大きかった.CD水飴には α , β , γ -CDが含まれることから,混練法によってRETP包括粉末を作製するには,CDの乳化能によるRETP油滴の分散が重要であると推察された.比較のために作成した噴霧乾燥粉末と同様に混練法による粉末中のRETP安定性はアブラミ式により良好に相関できた.各粉末のアブラミ式より求めたRETP分解速度定数に化学補償効果が成立し,賦形剤中の酸素の拡散律速の分解機構でRETPの安定性が推測できると考えられた.