組込み向け機器に利用されるハードウェアの高性能化に伴い,組込みOSとしてLinuxなどの汎用OSが搭載されるようになった.組込み機器では,リアルタイム性が重要視されるため,Linuxを採用する場合,カーネルに改良を施すことでリアルタイム性を確保している.また,マルチコアを搭載する組込み機器では,Linuxが持つCPU affinityの機能を用いることで,シングルコアでは不可能であった高負荷時におけるリアルタイム性も確保することが可能になった.しかし,コア毎に存在しているカーネルスレッドはCPU affinityを適用することができず,また,この処理がまれに引き起こすタイマ処理のカスケードには多くの処理時間を必要とし,リアルタイム性を阻害する原因となる.本論文では,マルチコアの各コアを,リアルタイム性を必要とするコアと不要とするコアに分割し,リアルタイム性を必要とする CPUコアでは,タイマのカスケード処理を発生させないよう隔離することで,リアルタイム性を確保する手法Timer Shieldを提案する.