本研究では,現代語確立期における言論の転換を把握するために,近代書き言葉の重要な言語資料である『太陽コーパス』のテキストに計量分析を施し,その中心的概念を抽出した.データは,コーパスに収録された10ジャンルの電子テキスト(文語体1,487記事と口語体1,741記事)を対象とし,IDF値に基づく指標を用いてジャンルに特有の語彙(特徴語)を抽出した.各ジャンルの特徴語を意味カテゴリーに分類し,クラスター分析を用いて文語体と口語体の差異を可視化した.当時の日本国民の関心事項が言論の転換に影響を及ぼした可能性を示唆する結果を得た.