種々の成分間相互作用の異なる二成分水溶液系について水分活性(aw)を測定し,成分間相互作用を無視した以下に示すRoss式との比較を行った. aw=aw1 aw2 ここに,awは二成分混合溶液の水分活性,aw1,aw2は,それぞれ,成分1および2のみが,同一条件で単独で存在するときの水分活性である.電解質,糖類,中性アミノ酸などのみの混合溶液では成分間相互作用はそれほど強くはなく,測定されたawはRoss式による予測とそれほどの差異はなかった.これに対して,酸-塩基系の場合,中和反応のため両者は大きく異なる結果となった.高分子系については,牛血清アルブミン(BSA)とスクロース混合系において,両溶質による協同的効果のため,測定awはRoss式より遙かに低い値となった.60℃におけるグリシン-リボース混合系においては,アミノカルボニル反応のため327 nmにおける吸光度が時間とともに大きく増大し,これに伴って水分活性も大きく上昇した.これは,初期反応におけるシッフ塩基形成での水分子放出と引き続く複雑なメイラード反応での溶質分子数減少の影響によるものであろう.