近年大豆タンパク質はその栄養価の高さからその摂取が世界的に推奨されており,新規な大豆食品開発は重要な課題と思われる.本研究では,豆乳・米粉・油脂エマルションからチーズのような食味・食感・融解性もつゲル状の食品開発を目指し,凍結環境下におけるエージングを利用してレオロジー特性を制御することを試みた.氷点以上におけるエージング過程において,試料バルク全体にわたるゲルネットワークの形成が伺えたが,エージングが氷点以下にて行われた場合,局所的なゲル化が進行したと推察された.動的粘弾性の測定結果は,氷点以下のエージング温度(−5℃,−10℃,−20℃)に依存して粘性的な性質が経時的にほぼ直線的に増加することが確認でき,温度が高いほどこの変化も大きかった.調理過程を模して作製した試料を焼成したところ,個々の試料が焼成前に有するレオロジー特性に相関して融け広がる性質が変化することが確認できた.