加圧熱水の反応場を用いてモチ米澱粉のナノスケール化を行った.澱粉の濃度,加圧熱水の圧力と温度をそれぞれ操作し,調製条件の違いによる澱粉粒子の性質の違いを観察した.澱粉粒子の性質としてゼータ電位・粒度分布測定装置を用いて平均粒子径と粒子径分布を測定した.澱粉の平均粒子径は調製条件に依存し,濃度が小さいほど平均粒子径は小さくなり,圧力と温度が高いほど平均粒子径は小さくなった.濃度0.1%(w/w),初期圧力3.0 MPa,到達温度180°Cという調製条件において平均粒子径が150.4 nmとなり,本実験における最小の平均粒子径を示すことが明らかになった.また,100 nm以下の粒子が約30%であった.本実験の操作範囲において温度,圧力および濃度を操作することで平均粒子径を制御し,目的に応じた平均粒子径の試料を調製できることが示唆された.また,大気圧−100°Cで調製した場合においては100 nm以下の成分が確認できず,加圧熱水を用いて調製した場合ではいずれの試料においても100 nm以下に粒子の分布が認められた.このことから加圧熱水は平均粒子径100 nm以下の小さな粒子を調製する手段として有効であることがわかった.さらに,圧力と温度からMarshall-Franckの式を用いて求めた水のイオン積によって,加圧熱水の反応場の特性を評価できることが明らかになった.