国立大学における共同研究1件当たりの研究費受入額について,その実態を明らかにすることを目的に,規模の異なる28の国立大学について,2004年度~2012年度の共同研究件数と研究費受入額を調査し整理した.その結果,(1)共同研究1件当たりの研究費受入額は,大学の規模が小さくなるにしたがい約400万円から約100万円と少なくなる傾向が見られること,(2)専門大学(工学)の共同研究1件当たりの研究費受入額は,一部の大学を除き約150万円と小規模総合大学のそれと同程度であること,(3)共同研究1件当たりの研究費受入額は,大学の教員数と一次の高い相関関係にあること,(4)共同研究1件当たりの研究費受入額は,大学の「ブランド力」として仮定した偏差値と高い正の相関関係にあること,が明らかとなった.共同研究1件当たりの研究費受入額が根本的に何に影響されているのかなどの要因を明確にするためには,今後,さらなる調査,研究が必要である.