林道の水流出量を評価するために,散水試験による路面浸透能測定(1 × 1 m),林道プロット(5 × 15 m)による路面地表流と切土法面からの流出(林道遮断流)の観測を行った。林道プロットは,斜面地形により谷地形,尾根地形,平行斜面の3カ所に設置し,路面地表流と林道遮断流を分けて観測した。散水試験で得られた路面浸透能は平均33.3 mm/h(SD = 8.8 mm/h)であり,植生被覆や土壌物理性との相関はみられなかった。林道プロットの路面地表流流出率は14~21%であり,林道からの総流出量に対して85~89%寄与していた。路面地表流の観測結果から得られた路面浸透能は5.0 mm/h以下となり,散水試験の結果より低かった。林道上の車両痕(わだち)において地表流の流下経路となり,路面長の長い林道プロットでより多くの地表流が生じたためと考えられた。林道遮断流の林道流出に占める割合は10%以下と小さく,切土法面に露出する土層面が大きい場合のみ,初期土壌水分量と林道遮断流に正の相関がみられた。林道路面の水流出量と流出経路は,路面状態(わだちの長さ)や切土法面状態(基岩の位置や断層の有無)と関連しているが示された。