平成23年東北地方太平洋沖地震による津波被害によって損失した海岸林の再生のため,地下水位の変化の実態を把握する必要がある。宮城県仙台市宮城野区の海岸林で地震後の2011年12月から地下水の水位の観測を実施した。地下水位は降水量が少ない冬期に低く,7月から10月の期間の降水量が多い月に高い水位を示す季節変化を示した。過去10年の月別最大地下水位を推定した結果,津波によるマツの根返りの被害があった地点の地下水位は-0.73~0.30m(平均値:-0.46m)となり,地下水位が高いため根系の発達に障害が生じる立地環境であった。津波の被害を免れたマツが存在する貞山堀の堤防の地点の地下水位は-3.05~-1.99m(平均値:-2.77m)と推定され,根系が十分に発達できる立地環境であった。