本研究では, 大学生の抑うつおよび自殺念慮の問題に関する学生相談機関への援助要請行動のプロセスに焦点をあて, その特徴を明らかにするとともに, 援助要請行動のプロセスにおける各段階の意思決定に関連する要因を検討した。大学生を対象に, 場面想定法を用いて抑うつおよび自殺念慮の問題を抱えた際の援助要請行動, 問題の深刻度の評価, 援助要請に対する態度, 自尊感情, 精神的健康度, ソーシャル・サポート, デモグラフィック変数について尋ねる質問紙調査を実施し, 758名からの有効回答を得た。ロジスティック回帰分析を実施した結果, 援助要請を検討する段階では性別(女性), ソーシャル・サポート, 問題の深刻度の評価が関連を示した。学生相談機関への援助要請行動の段階では, 問題の深刻度の評価, 援助要請に対する態度が関連を示し, さらに自殺念慮の問題では, 性別(男性)が関連を示した。得られた結果より, 援助要請行動のプロセスの観点からの, 大学生の精神的健康を目指した学生相談機関による介入方法について考察された。