SEを人工的に接種した全卵を用い, 食中毒事故を起こした老人ホームの処方でババロアを試作した.試作の工程では成分は55.6℃にしか加熱されず, SEの減少度合いは小さかった.洋菓子製造の教材による配合でババロア, カスタードクリーム, アイスクリーム原液を作り, これにSEを接種して58℃, 63℃, および68℃ に各々3.5分加熱した.58℃3.5分では接種したSEを殺菌できなかったが, 68℃3.5分では殺すことが可能であった. 洋生菓子の試作品のpHはいずれも中性付近にあり, 水分活性もサルモネラの増殖可能な0.95以上にあり, 特に老人ホーム処方のものは高かった.これらにSEを接種して30℃に保存した場合, いずれも増殖したが, 特に老人ホーム処方のババロアでの増殖は速かった.一方10℃に保存した場合, いずれも増殖速度は極めて遅かった.卵を含む最終製品を低温に保管するか, あるいは早期に摂食することの重要性も再認識された.