1993年9月, 大阪府下の一つの結婚式場において結婚式場披露宴の参列者の間で下痢症状を呈する食中毒事件が続けて2度発生した. 患者数は初回においては776名, 2度目には350名の大規模なものであった. 患者らのふん便検査の結果から原因物質は毒素原性大腸菌であり, O25:H42およびO169:H41の2血清型の混合感染による非常にまれなものであった. また, 保存してあった検食から毒素原性大腸菌O169:H41を分離した. 毒素原性大腸菌による食中毒で検食から原因菌を検出したのはわが国では最初のものと思われる. 稿を終えるにあたり, プラスミドの分子量測定のための菌株を分与していただいた神戸市環境保健研究所, 村瀬 稔博士に深謝いたします. また, 終始御協力を頂きました大阪府食品衛生課ならびに食品衛生特別監視機動班の皆様に深謝いたします.