統計的推測理論は多方面にわたって発展しているが,ここではこの発展を,決定論的観点からの推定論,微分幾何的アプローチによる漸近理論,検定論,プートストラップ法,の4つのトピックにわけそれぞれのトピックに章をあてて概観する.全体の内容を調整した後,第1章を久保川,第2章を江口,第3章を竹村,第4章を小西がそれぞれ執筆した.トピックごとに文献もかなり明確にわかれるため,参考文献も各章ごとに与えてある.統計的推測理論のような大きな分野の発展を概観する際には,その中で何が重要な発展であるかなどについてさまざまな観点がありえる.ここでの概観も,それぞれの執筆者の観点にある程度引き寄せた概観となっていることをお断りしておきたい.