本研究の目的は, 千歳川放水路計画を取りあげ, 人々が環境リスクマネジメントの政策決定においてどのような合意形成のあり方を望むのかを検討することである。札幌市民から無作為抽出した成人324名を対象に質問紙調査を行った。調査結果から以下のことが明らかにされた。(1) 近傍一般市民の環境アセスメントへの広義の信頼を改善するためには, 事業者の不誠実な行為へのモニタリング機能を整備することが有効である。意図への期待が損なわれているときに, 専門的能力の高さをアピールしても効果はない。(2) 近傍一般市民が好意的に受け取る紛争解決方法はかなり強い当事者主義であり, 決定プロセスのどの局面においても利害関係者の意見を入れることを望む。これらの結果からもたらされるリスクマネジメント実務への示唆を検討した上で, さらに, 理論的な問題を議論した。