日常事態における社会的比較の様態に関して, 青年期を中心とした発達的変化と文化的自己観との関連を検討するため, 小学校高学年から中年成人に至る6つの年齢段階群の対象者に対して, 質問紙調査が実施された。比較の対象, 相手, 理由に基づく数量化3類の解析を通じて, 2つの社会的比較の類型-内的・自己志向的比較と外的・他者志向的比較が見出された。青年期は他の時期に比べて, 社会的比較の頻度が高く, かつ外的・他者志向的比較が優勢であった。また, 日本文化に優勢な相互協調的自己観をもった者に, その傾向が顕著であった。これらの結果から, 個人の自己概念の発達において, 文化的自己観が反映される過程での社会的比較, 就中, 外的・他者志向的社会的比較の重要性が示唆された。