阪神大震災 (1995年1月17日) で発生した避難所の組織化プロセスを, 3つの避難所において救援ボランティアに携わりながら行なった参加観察を通して検討した。避難所では, 避難者, 施設スタッフ (通常, 避難所を職場とする人), 救援ボランティアという3つの集合体による創発的な組織化が進行した。参加観察を行なった3つの避難所についてみると, 第1の避難所では, 避難者が早期から強力な自治組織を形成し, 避難者集合体主導の組織化が進行した; 第2の避難所では, 従前からの活発なコミュニティ活動を基盤として, 避難者・施設スタッフ集合体主導の組織化が進行した; 第3の避難所では, 通算7代にわたる学生ボランティアのバトンタッチによる救援ボランティア集合体主導の組織化が進行した (ただし, 一部のボランティアによって避難者, 施設スタッフとの意思疎通も図られた)。結論として, 避難所は, 単なる食料や寝場所を確保する場ではなく, 避難者が新たなる集合性の再構築に向かって第一歩を踏み出せるための安全基地としての場とならねばならないこと, そのためには, 避難者集合体のニーズが反映される組織化プロセスを実現する必要があることを指摘した。