本研究は, 人だかりが人を呼び込むという現象について, 人だかりの大きさとその対象となっているインセンティブのあいまいさが歩行者の参入率にどのような影響を与えるかを検討した。仮説は, インセンティブがあいまいな状況では人だかりが大きいほど参入率が高くなるが, インセンティブが明確な状況ではサイズは参入率を左右しない, というものであった。キャンペーン業者による勧誘という設定に上記の要因を組み入れたシミュレーションビデオを上映し, 被験者に参入意図を評定するよう求めた。被験者は大学生305名であった。結果は統計的有意には達しなかったものの, 仮謀を支持する方向にあった。このような結果に意味があるのかどうかを検討し, 最後に, 店頭マーケティングやイベント場面への本研究結果の適用を考察した。