本研究は, 7つの援助行動型ごとに, その行動といかなる援助動機・性格が関連するのかを検討した。大学生を対象に質問紙調査を行い, 援助動機の因子構造を分析した上で, 各援助行動型と動機・性格との関連を重回帰分析を用いて検討した。 主な結果は, 以下の通りである。 1. 「金品の譲渡・貸与」型援助とは, 「互恵と友好的関係」動機が関連し, また女性では「合理的でない援助効用の予期」動機が関連することが見出された。 2. 「紹介・勧誘」型援助とは, 「互恵と友好的関係」動機と「援助コストの低さと当然さ」動機が関連した。男性では「合理的でない援助効用の予期」動機が関連した。また, 「社会的外向性」はこの型の援助に対し促進的影響を, 「自己顕示性」は抑制的影響を及ぼすことが見出された。 3. 「代行」型援助とは, 「互恵と友好的関係」と「援助コストの低さと当然さ」動機が関連した。また, 「共感性」と「進取性」がこの型の援助に対し促進的影響を及ぼす傾向が見出された。 4. 「同調」型援助とは, 男性では「コストの低さと当然さ」, 女性では「互恵と友好的関係」動機が関連した。また, 「社会的外向性」がこの型の援助に対し促進的影響を, 「自己顕示性」が抑制的影響を及ぼすことが見出された。 5. 「小さな親切」型の援助とは, 「合理的でない援助効用の予期」動機との関連がみられ, 「共感性」はこの型の援助に対し促進的影響を及ぼすことが見出された。また, 女性では「抑うつ性」が抑制的影響を及ぼすことが見出された。 6. 「助言・忠告」型の援助とは, 「援助コストの低さと当然さ」動機と関連があり, 女性では「援助規範意識と合理的援助効用の予期」動機や, 被援助者への「同情」動機と関連があった。また, 男性では「持久性」はこの型の援助に対し促進的影響を及ぼすことが見出された。 7. 「気遣い・いたわり」型援助とは, 「援助規範意識と合理的援助効用の予期」動機と関連があった。また, 「持久性」は促進的影響を及ぼすことが見出された。 以上の結果に関し, 援助行動と動機・性格との関連, さらにその関連のあり方からそれぞれの援助行動型の特徴が考察された。また, 援動行動型ごとの動機・性格との関連の検討の必要性・有用性が論じられた。