洗剤汚染, ゴミ問題, 渇水というコミュニティの環境問題は, 公的利益と私的利益が対立する共有地の悲劇事態と考えられる。本研究の目的は, これら環境問題における消費者の対処行動とその規定因の因果連関を明らかにすることである。 57名の男子大学生に, 洗剤, ゴミ, 渇水の各仮想事態を提示したのち, 各事態毎に, コミュニティ全体の動向予測, 予想される事態の深刻度と生起可能性評価, 対処行動の有効性評価, 対処行動の意図を評定させた。 パス解析によって得られた各事態での対処行動と規定因の因果連関は次のとおりである。 洗剤問題では, 全体の動向予測→深刻事態の生起可能性→事態の深刻度→対処行動の意図, 全体の動向予測→対処行動の意図に有意な連関がみられた。 ゴミ問題では, 全体の動向予測→生起可能性→深刻度→行動意図, 全体の動向予測→行動意図, 有効性評価→行動意図に有意な連関がみられた。 渇水問題では, 生起可能性→深刻度→行動意図, 全体の動向予測→行動意図に有意な連関がみられた。