本研究の目的は, 向性次元の性格の類似性が, SP間の特性の感情価を同等にした場合に, 直接的に対人魅力に効果を及ぼすかどうかを検討することであった。また, これと合わせて, 知覚された類似性がSPの性格特性の認知にどのような影響を与えるかという点についても検討を行なった。 被験者は大学生の男女60名であった。被験者は, 48個の特性形容詞について自分にあてはまる程度, 自分にとって満足できる程度を評定した後向性検査VATに反応した。次に, 外向型SPまたは内向型SPを呈示された被験者は, 所与のSPと自己との間に知覚された類似性, 48個の特性形容詞がSPにあてはまる程度, SPに対する魅力について評定を行なった。なお, 外向型SPと内向型SPの特性の感情価は, あらかじめ同等になるように統制されていた。 本研究において見出された結果は, 次の通りであった。 1. 対人魅力尺度については, 8尺度中4尺度において類似性の主効果が見出された。これは, 類似したSPの方が, 非類似のSPよりも好まれることを示すものであった。また, 有意な交互作用も見出され, 項目によっては, 類似性とは別に, 外向型SPが選好されたり, 内向型SPが選好されることが明らかになった。 2. 類似したSPにあてはまると知覚された特性には, 非類似性のSPにあてはまると知覚された特性に比べて, 被験者自身にあてはまる特性と, 被験者の満足できる特性が有意に帰属さることが明らかになった。