本研究の目的は, 親の子どもに対するリーダーシップ行動 (養育態度) を, 親の自己認知と子どもの認知の両者の観点から比較検討することであった。その際, 同じ記述次元を用いるために, 両者に共通して用いることができるようなテストバッテリーを作成した。作成されたテストバッテリーは, 情緒的相互作用 (Maintenance Factor) と, しつけ・訓練 (Performance Factor) についてそれぞれ10項目から構成されるものであった。 このテストバッテリーで, 親の自己認知と子どもの親認知の得点は, 父親のP機能・M機能, 母親のP機能において親の自己認知得点は有意に高く, 母親のM機能には有意な差は認められなかった。 次に, 親のリーダーシップ行動と子どもの親に対する態度の関係は, 子供の認知と親の自己認知では同じ類型でもその関係は異ってくる。即ち, 子どもが親に対して積極的にポジイティブ (理解があると思う, 信頼する, 誇りを持つ, 親しみをもつ, 尊敬する) な態度をとるのは, 親の自己認知による類型ではpm型, M型より, PM型, P型 (P優位型) である。子どもの認知による類型では, pm型, P型よりPM型, M型 (M優位型) であることが明らかになった。