本稿においては, さきに述べた弛緩行動と基本動作に続いて, 脳性マヒ者の心理学的なリハビリテーションにおける重要な対象として基本動作という概念を設定し, それが目的行動における意義を検討するとともに, その最も代表的なものとしての歩行動作と書字動作, 発声動作のそれぞれについて, 分節的な下位動作のハイアラーキーと, 各動作型についての評価の方法, 訓練スケジュールについての一試案を提出した。 また, それら基本動作を困難にし, あるいは妨害する諸要因と, それを軽減, ないし排除することに関する諸問題を, 従来の医学的立場, ことに整形外科的な立場や骨格や筋の微視的立場から離れて, 動作そのものを中心とした, いわば動作学的立場から検討してみた。